おもいはせる

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街を歩く

白人の男性が横を過ぎる

格好や身なりから、きっと日本で暮らして長いと想像する


ふと思う

今、偶然、横を過ぎたこの人にも

どこかで彼を待ち焦がれる、そんな人がいるのだろうか


自分にとってはただすれ違い、30秒後には顔も忘れるであろうこの人のことを

どこかの誰かは1人で、あるいは複数で

待ち続けているのだろうか


何も外国人だから、とか、この人だから、に限らず

今視界に入るすべての人に

きっとその人を待つ存在がいる

それは人だけじゃなく、飼ってるペットや、食器、本、服、ゲーム、食べ物、車、家…

それが使われてるか、使われてないか

大事にされてるか、されてないかに関わらず

みんなどこかで、誰か(何か)が待っていて、戻る場所、みたいなのが存在する、のだろうか


全ての人やものに

過去があり、歴史がある

想像すると果てしない


そしてこれまでも、きっとこれからも

僕と全く関わりのないところで存在する生活があり

どこかに身を置き

誰かと関わり

その途中で今日

ほんの一瞬

さっきここで

僕と交差し、また離れた


こうして自分勝手であるが

他人のことを想像し、考えてみる

そしてそうすることを、やめたくないなと小さく願う

時々でいいから、自分にできる範囲で声をかけ

想像じゃない、生きてる人の声をちゃんと聞いてみたいなと思う


そしてそれができたなら

語られる全ての言葉を、表情を、景色を、可能な限りありとあらゆるものを

こぼさず全身で受けとめ、記憶したいなと思う


知らない人と話す、聞く、写真を撮る

この行為で見えることってなんだろう

聞くこと自体が他人を傷つけるかもしれないのに

やめられないのはなんでだろう


でも

聞くことから、なんかはじまるんじゃないか

想像することから、なんかはじまるんじゃないか

そう信じてならない


と書いてる途中で

白人男性の顔も忘れたことに気付く

なんて薄っぺらく、頼りないんだろう

そしてあの人とは、きっと今のこれっきりなんだろう


全部が消える

消えて無くなる

だからいっぱい書いて、撮って

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