HAZIME-MASHITEって何ですか?

<奨学金をかけて2018年1月に記入したものの一部より>

僕には大学生より始めた活動がある。その名も「HAZIME-MASHITE」(はじめまして)。街ゆく見知らぬ人に声をかけ、彼らの暮らし・経験を聞き出す。綺麗に言うなら街頭インタビュー、端から見ればただのナンパ。

きっかけは今年で8年目に差しかかる「日記」と「ご近所づきあい」から。

高校サッカー部で義務付けられた練習の記録ノートだったが、感情を記す大切さに気づき、日に日に練習以外のことを書く量が増えた。

ご近所づきあいはまだ神戸の北区に住んでいた頃の話。心温かい老父婦のご近所さん達に恵まれ、小学生の頃から立ち話をすることが多かった。中学・高校と年を重ねるにつれ ご近所さんへの愛着も湧き、気づけば家の前を通ったおば様方とも会話に花を咲かせた。

 

そんな2点が重なり、プロジェクトがスタート。始めた当初はカメラも持っておらず、ただただ他者に対する好奇心だけが僕を外に居させた。

 

そして時は経ち、この活動も2018年現在で5年目を迎えた。これまでにSNSで紹介した人・ストーリーの数は650を超え、たくさんの方に支えられ出版できた初版「HAZIME-MASHITE」は完売。そして今、海外でこの活動に挑戦する。

しかし何故、今でも活動を続けるのか。また活動を通し僕本人は何を学び気付いたのか、少し話させてほしい。

 

最初の数ヶ月間は「なぜ活動をするの?」と聞かれても「楽しいから」と答えるだけだった。それ以外の理由もなく、本当に夢中になれるものを見つけた嬉しさだけで毎日が過ぎていった。しかしより多くの方に声をかけるうちに、この活動そのものが自分の過去と強く関係していることを感じた。その「過去」とは一体何なのかだが、詳しいことはここに書けない。それは見せびらかすものでもなければ、同情されても嫌なため。しかし要は生まれ育った環境や家族が、僕にとっての原点だ。

小さな頃から大人の怒鳴り声や涙を何度も見た。それは小学生・中学生の僕には耐え難いものであり、忘れようにも忘れられないことだ。

しかし今の僕があるのも、こうして活動を続けられるのも、その過去があったから。常に誰かに気を使い、緊張状態の中で過ごしたことで、相手が何を望んでいるのか、そして何を伝えたいのか、言葉によく耳を傾けるようになった。

また怒らせない、傷つけないことを意識し育ってきたため、物腰の柔らかい言葉を選んで話すクセがついた。

 

だがそんな日々を過ごすうちに自然と疑問も湧いてくる。

「自分とは一体何で、誰なのか?」

 

当たり障りのない発言や選択。アイデンティティーのない自分。

そんな生活を断ち切りたい。その意味でも地元の高校へ行かず、僕を知る多くの人と離れたことは自分の性格を変えることにつながった。

高校から信用できる友達も増え、性格が良い方向に変わり始めたことを実感した。色々なことがポジティブに動き始めると、自然とこれまでの立ち話の範囲も拡大し、知らない人でも自分から話しかけたり、困っている人に手を貸せるようになった。そんな変わり始めた日常を記録したく、日記の書く量も自然と増えてた。

 

ここまで話せば少し分かっていただけるだろうか。

僕が「HAZIME-MASHITE」を行う理由。

「見てくれた人の背中を押せる、そんな人間になりたい」。

 

自分がそうだった様に、誰にも言えず辛い想いをする日々はしんどい。楽しいことも楽しいと思えず、負のサイクルが回る。そんな時、誰でも良いから「どうしたん?」と声をかけてくれれば。頷いてくれるだけでいい、ただ話を聞いてくれるだけでもいい。

 

僕がこの活動の価値を見出せたのも、全く知らない人に自らの過去を打ち明け、その方が理解してくれたことから。知らないもの同士、もう二度と会わないかもしれないからこそ言える本音。家族や友達でなく、誰か関わりのない人だから素直に言えること。

相手の本音を聞き出すことができた時、出会って僅かだというのに心の奥深くから受け入れ 繋がり合えた感覚になる。

言葉の奥にある心を、他人である僕が少しでも理解できれば、そう願い話しかける。

カメラと少しの勇気、それさえあれば誰にでも同じ活動ができる。しかし過去から気付きを得た「僕だから」聞きだせること、寄り添える部分がある。そんな自覚も出てきた。

 

そして僕一人だけが集めた声を独り占めしても意味がない。本当にその言葉を必要としているそこの「あなた」に届けること。それが僕の役目であり、シェアからまた繋がりを生みたい。

9割の人に記事が刺さらなくてもいい。ふ〜んで流す人は流せばいい。ただ見てくれた人の中に一人でも、心から記事に対し関わりを持ってくれる人が居てくれれば。

 

こうして進んできた日々。たくさんの出会いや応援、縁や運にも味方され、いろいろな目標が叶ってきた。新たなことに挑戦する楽しさや、大事な方々への感謝の心も自然と湧き、本当に多くのことを学ばせてもらっている。

 

しかし僕はまだまだこれから。今の現状、活動、自分の能力にも満足していないし、できない。

 

バンクーバーの生活にも時間に限りがある。とにかく今抱く目標や、夢中になれるものがあることに感謝し、素直に取り組む。まずは○○奨学金をものにし、これからの夢を前に進めたい。